入れ歯を検討されている方は、「スマイルデンチャー」とか「ミラクルデンチャー」といった言葉を目にしたり聞いたりしたことがあるかもしれません。
当院は「スマイルデンチャー」や「ミラクルデンチャー」の取り扱いはありませんが、「スマイルデンチャー」や「ミラクルデンチャー」をつくったけど、そのあと困ってる・・・という方がたくさん来院されていますので、どういう入れ歯なのか、どこに問題があるのか、はよく分かっているつもりです。
今回は入れ歯の職人として、「スマイルデンチャー」や「ミラクルデンチャー」についての見解を、できるだけ分かりやすく書いてみたいと思います。
スマイルデンチャーについて
スマイルデンチャーが悪い、というつもりはまったくありませんが、正直スマイルデンチャーはトラブルが多い印象です。当院にもスマイルデンチャーを入れたけどうまく噛めない、といった患者さんがたくさんいらっしゃいます。
素材は「ノンクラスプ」といって、金属を使わないタイプになります。スマイルデンチャーはその中でも素材が柔らかいです。金属を使わないので、見た目を気にされる方にとっては魅力的にうつるのかもしれません。
とはいえ、見た目ももちろん大事ですが、入れ歯は噛めないと話になりません。そのため、素材も大事ですが、同じく大事なのが「作り方」になります。スマイルデンチャーはこの「作り方」に大きな問題があります。
スマイルデンチャーの作り方はとてもシンプルです。歯医者側ではお口の中をスキャンするだけです。するとそのスキャンデータをもとに入れ歯が出来上がる、という仕組みです。
ここが一番の問題です。そもそも口の中は、残っている歯の場所、残っている歯の強さ、噛み方の癖や方向、顎の骨の向きなど、誰一人として同じ人はいません。そしてそれはスキャンしただけでは絶対に正確には分かりません。
そのため「スマイルデンチャーをつくったのにうまく噛めない」といったお悩みを聞くたびに、せっかく工夫された新しい素材なのにもったいないと感じています。
あと、スマイルデンチャーは素材の性質上「修理がほぼできない」「接着剤が効かない素材」という点は非常に残念なところです。
修理を依頼されても削ることはできても、追加・添加することができず、非常に修理・修正の対応が難しいと感じています。
もっと言えば、使い込んでいって数年経過した後にすり減った部分や歯ぐきの形態が変わったのち、簡単な修正もほぼできないとも言えます。
ミラクルデンチャーについて
ミラクルデンチャーは、スマイルデンチャーと比べると、入れ歯を固定させるための装置がしっかりしていること、また入れ歯の調節ができることを含めて、少し玄人寄りの入れ歯です。
ただミラクルデンチャーも、歯医者の診断力・技量・経験が不足していることでせっかくの素材が台無しになっているケースもよく目にします。
やはり、お口の中の状況をしっかり診断し理解した上で適切な入れ歯の設計ができる技量が歯医者にないと、いい入れ歯はできません。「ミラクルデンチャーだから安心」という判断はおすすめしません。
あすなろ歯科の入れ歯の治療
あすなろ歯科に入れ歯でお困りの方が来院されたときに、一番最初に調節するのは、「噛んだときの「力のベクトル」の調整」です。
どの方向に力が加わっていて(あるいは逃げてしまっていて)、その結果どこに痛みが出ているのか噛めないのか、という診断をし、適切な場所に適切な力が加わるように入れ歯を調節します。
それだけでもかなりの方が改善されます。
もちろんこれは応急処置となりますので、患者さんのご希望に合わせて、新しい入れ歯を作り直すこともあります。
あすなろ歯科の入れ歯は、まず「噛める」「長く使える」を一番大事にしています。その上で「見た目」にもしっかりこだわります。
専門の相談カウンセラーも在籍していますので、ぜひお気軽にご相談ください。